この記事は素数大富豪 Advent Calendar 2020 - Adventarの22日目の記事です。昨日はカステラさんによる「全出し」との付き合い方 - 初代素数王の備忘録でした。現上位プレイヤーが全出しをしている意図についてくまなく解説されております。最近は本当に相全出しから始まる試合が多いですよね。今日の話題は相全出しに超密接に関わってきますし全出し前提のメンタルで書いているので、全出しに馴染みのない方は先にこれを読んでください。
はじめに
この記事は12/6の二世さんの記事の考察編になってるはずです。ラマヌジャン革命が戦略として取り入れられ、回数も増えているというお話でした。さらに、革命を起こした方の勝率の低さについても着目されてます。
今回はプレイヤー目線でのラマヌジャン革命の見え方について語っていきたいと思いますので、二世さんの記事が未読の方はこちらも先に読むのをお勧めします。
この記事はざっくり3本立てです。まずは革命が増えている理由について解説します。相全出し・合成数カマトトによる山札の枯渇が最近革命が増えている理由なのでは、ということについて説明していきます。
その後に、今のプレイヤーの革命下での思考について解説します。イメージによる部分も多いですが多くのプレイヤーが心がけているであろうことをまとめました。
最後にこれからの革命の戦術について予測していきたいと思います。二世さんが記事で指摘していた「革命を起こしたプレイヤーの勝率があまり高くない」現象について、まだ革命下の戦略、素数、合成数が開拓されていないだけなのではという内容です。
革命回数が増えている理由について
二世さんの記事でマスP杯での革命が増えているということは明らかになっていますが、オンライン大会でも革命が増えている印象です(きちんとカウントしてないのでわかりませんが)。
これに関しては革命の戦略そのものが深化したというよりも、相全出しや合成数カマトトによる手札枚数の増加、それに伴う切り札のインフレによるものではないかと考察しています。
一言で言うなら、手札が多いときは自分の有利不利が明確になりやすいからだと考えています。以下解説してきます。
まず上位プレイヤーの相全出し環境で常識になっている事実を述べていきます。
- お互いが全出しをしてお互いの手札がほぼわかる
- Kの枚数とジョーカーの枚数は把握必須
- n枚2n桁の切り札は相手に絶対切られないものでないと安心できない(理論上最強じゃないと切られる可能性は大いにある)
- 相手は強いn枚2n桁素数を知っている前提で立ち回る
この4点は間違い無いです。
相全出し後、山札が最小6枚*1になり、ほぼ相手と自分の手札がわかる状態になります。そのあとわちゃわちゃ*2して54枚の位置が把握できます。
この手札が割れた状態で手番を持った上位プレイヤーは、まずKの枚数などを見て、6枚ぐらいまでの最大火力が相手に切られるかを考えます。*3そのときにKの枚数が2枚以下*4のときなど、切り札としては何を出しても切られるだろうというときがあります。切り札がないならどうするかと言った話ですが、多枚数で攻めることもありますが、なかなか大変な印象です。
そこで革命です。
自分と相手の有利不利が手札から把握できるからこそ、ひっくり返すために革命が有効になってきます。もちろん革命して有利になるか不利になるか、という部分は考えた上での革命です。具体的なことは次章で解説します。どの程度のアドバンテージを得られるから革命起こすかは状況によりそうです。革命しないと相手が上がる場合は不利になってもミス待ちや妨害目的でする場合もあります。
とりあえず、現代の素数大富豪は切り札が理論値に近付いていて、有利不利が手札から概ね把握できる。だから不利を打開するための策としての革命を行うという、僕なりの解釈でした。*5
プレイヤーが革命下で考えていること
現上位プレイヤー達が革命下で考えていることや、戦略を雑多に紹介していきます。相全出し後のお互いが手札をほぼ把握した状態でのプレイングを想定しています。「革命を起こす側」と「革命を受ける側」と「どちらにも言えること」で戦略を分けてみました。実際には混戦になって「どっちが革命したっけ?」になることも少なくないですが。
革命を起こす側
革命を起こすかの判断について
革命下はAAやAX|X=0から始まるn枚n桁が切り札になる世界です。AとXがすご〜く重要です。AやXをあまり持ってない状態で革命を起こすのはリスクが相当高い行為です。どのような手のときに革命を起こすべきでしょうか。とりあえず今回はAとXの枚数を考えましょう。(以下、AX|X=0を単にA0と表記します)
この素数大富豪というゲームはすごく上手くできていて*6革命をするのにA729でAを1枚消費する必要があります。そしてこのAは相手に回収される可能性があり、革命起こしてアドバンテージを取れる手札は限られてきます。
革命を起こし、相手にA729のAを回収されてもAとXの枚数で明らかに優位にたてるのは手札にAAAAXX/AAAXX/AAXX/AAAAXがある時になります。理論上はAXXも有利なはずです、XXを使いこなすのは難しそうですが。AAAXを持ってて初めて平等になります。要するに革命をして有利になる手は結構限られてくることになります。
もちろんKが独占されていてもうどうしようもない場合など、上の状態でなくても相手をかき乱す目的での革命*7はありですが、相手が全く動じずに、むしろ不利になる場合もあります。難しいですね。
原則、手札にAAAAXX/AAAXX/AAXX/AAAAX/(AXX)/AAAXがあるときに革命起こすのありだと思いますが例外もある、といったかんじでしょうか。
4枚出しをしない
4枚出しした時点で、A729出してくださいと言っているようなものです。質の悪いことにA729って革命下でかなり強いので、4枚出し弱い素数を出すと速攻で革命返し喰らいます。革命時の4枚出しは封印しましょう。
革命を受ける側
A729のAの回収
Aの枚数でアドバンテージを取るために相手の出したA729のAは絶対回収はしたいです。向こうは全出しやカマトトができない状態なのにこっちはカマトトし放題なので比較的有利にAを確保できるはずです。
・手札が強いとき(AAXがあるとき)
A0A3またはA0A9、A02Aがあり*9かつ今の山札+5枚*10を全回収できるほど手札がある場合、 A729に対してそれらを出してその後全出しで全出しチャレンジできるしAを回収できます。強い札を持ってるときはA729を切って全出しがオススメです。手札が少なくて山札回収できないときカマトトですかね。
・AやXの枚数で負けているとき
①カマトトする。
とりあえず手札増強も兼ねてカマトトします。ここでのポイントは原則山札を引き切らず流れたA729の上に何枚か(3~4枚とか?)ある状態にして相手がグロタンチェンジしても引けない位置にAを埋めましょう。次の相手の手に対して合成数カマトトしてAを回収しましょう。
②半端な手を出す
ケースバイケースで難しいことろだと思います。相手にAが渡る危険性がありますので、一見
不利になりそうです。しかし、相手に「こっちに手番を渡したくないので応戦する」or「Aの消費がしたくないのでパスして手番を渡す」という嫌な選択を突きつけることができる場合があります。*11さらに相手が応戦を選択した場合に、その後Aを消費して弱くなった手で戦うor全出しで回収するといったこと決断させることになります。ここの選択に関しては現時点では人によってかなり異なりますので対戦相手によりけりですかね。*12
いずれ、Axxxと超多枚数と残り素数を持ってる場合、相手のA729に対して、Axxxを出して相手がAxxxより小さい数で切り、その後A回収目的で全出ししてくるorパスしてきて、超多枚数出しで一気に決めきる、みたいなことが相手の行動パターン、自分の素数量、AとXの分配によってはできたりするのかもしれません。そうなったとき、ここの選択はよく考えるところなのかな、と思います。
ラリーをしないほうが強い(かもしれない)
今の素数大富豪では、革命を起こした側はラリーを挟みつつ手札を減らすのが主流です。相手はラリーしてくれないかなぁという気持ちで3枚6桁や5枚9桁を出してきます。そこに突き刺さる無慈悲な223とか、5枚5桁小さめでAを使用しない手は相手のペースを乱す良いプレイングになりそうです。パスしてくれて革命返しができたり、動揺してポロっとAを消費してくれたりしていつの間か有利になっていたなんてこともあります。相手が次の手で出そうとしてる絵札枚数ぐらいは想像してそれより小さいのを狙えたら強そう。
どちらにも言えること
AとXは温存する
AとXは切り札に使うために取っておきます。それはそうですね。
あと、これはあるあるな悩みですが、Aが使えないと多枚数出しでKをA3、QをA2にして出せないので多枚数出しの対応が厳しいです。Aをこのような多枚数として出すのはもったいないですが上がられそうな時は出さざるを得ないです、悲しいですね。
Xは0として使用するのがメインになってきます。というかこれがXの強さです。0は他の札で代用できないのでA0Aなど切り札を作るのに必須です。
多枚数出しは平常時と同様に強い
これもそれはそうで、相手が知らないような枚数で攻めれば強いです。
お互いの手札が拮抗していると長引く
2人とも革命下で戦いたいときは大抵お互いにAAX持ってることが多いです。切り札はお互いにA0Aなんてパターンです。こういうときはお互いにAAXを消費せず慎重に全出し合戦などで試合が長引く傾向にあります。
革命返すのはあり
お互いが革命下で戦いたいときでもいきなり革命返しはありです。相手の勝ち筋を無に帰することができるのでそれだけで強いんですよね(あがれるとは言ってない)。相手が勝ちパターンに入りそうなときは強引に革命返ししましょう。革命下で戦ってたらいつの間にかKがたくさんあってKKKKTJとかあるやんってなることもしばしばあります。革命返し考慮の絵札の温存はできると強いですね。
やっぱり4枚出しはしない
4枚出しをすると革命返しがきます。お互い革命下で戦いたいと言っても相手の妨害として革命返しは優秀なので、止めるのが無難。
2枚出しもあまりしない
グロタンカットがかなり小さいので脅威となります。まぁ平常時の相全出し後の2枚出し進行もあまり見ないので、グロタンカットされるのを嫌うというのもありますが2枚出しじゃ捌き切れないこと多いというだけの可能性もあります。後、お互いにA0=2*5を出せる場合手番を取られて革命返しにあうパターンもありますし。
これからの革命の話
二世さんの記事で触れられてた「革命を起こしたプレイヤーの勝率があまり高くない」現象は、革命後に主導権を握りつづけて勝つのが難しいことが原因として挙げられると思います。(ⅰ)AとXでアドバンテージを持っていること、(ⅱ)相手がラリーに応じたり革命下での戦いに付き合ってくれる。手番を渡しても革命返しを起こさないでくれる、(ⅲ)A0Aなど強い素数を用いて組み切る。
現在は基本的に(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)を満たして初めて勝てる状態です。(ⅰ)に関しては運です。革命する可能性を常に考慮しAは平常時でも温存しておくといいですがお互いそれをするなら結局運ですね。改善できるのは(ⅱ)(ⅲ)です。ラリー回数を減らす、多枚数出しの強い素数を覚えるなどで勝率があげられるはずです。革命下の切り札と聞いてA0Aぐらいしか思いつかない人も多いのでは、と思います。革命下の切り札の枚数を上げることで組み切りやすくする、そんな気がしませんか?
以下にこれからの革命戦略で起こりそうなことを予想していきます。
強い素数、合成数を使いこなす人が出現する
切り札として有効なラインがインフレしているのは最初のパートで説明した通り周知の事実です。今の革命の切り札、3枚出しではA0Aが出てきますが、5枚出し、6枚出しはまだ全くと言っていいほど強い素数が出てきてません。4枚出しに例えると8QTKが強い時代ぐらいのノリだと思います。ということはこれからインフレ(デフレ?)が起こります。
まず現時点では、5枚出しの最小素数すら知らないという人が多そうです。最小はA0037らしいです。僕は知りませんでした。ジョーカー2枚必須素数なんで今は実用性はなさそうに見えます。ジョーカー2枚持ってるならA0始まり素数であれば必ず流れるからそっちから流行りそうです。
出しやすさ、実用性を考えると、お互いがAAXを持っているときの切り札としてA0A始まり最小素数A0A33、2番目小さなA0A39はこれからの時代必須になると予想してます。これは互いに革命時にAAXを持っている場合、革命返しをせずに進行するパターンでの切り札となりうるからです。AAAX以上を持っている時でもA0A33が出せるので、まずはこのラインだと思います。
A0A33がA0A最小素数なら、当然それより小さな合成数も重要になってきます。お互いがAAX持っている環境下で使えるものはA0A25=3^4*5^3とA0A28=2^4*3*2Jです。この2つは覚えておきたいですね。実際は相手も同じものを出せるケースがあるため、カードカウントが必要になりそうですが。*13
まぁ、こっちがAAAX持ってるならA0AA9=3*3373やA0AA4=2*K*389も出せるけど、相手の最大火力がA0223(3の枚数は置いておくとして)なのでA0A始まり素数でも流せるので、まずはやっぱりA0A33とその周辺を覚えたいですね。
さらにさらに、ジョーカー2枚合成数のA00A6=2^5*3KやA002A=J*9J、A0033=79*Q7、A0043=J^2*83、A0049=K*773、A0072=2^3*Q59こういうのはロマンの塊です。使いたいですね。
お互いがAAXを持っているときのA0A始まり最小素数、6枚ではA0A267です。こいつは覚えておきましょう新時代のスタンダードです。そしてこいつに勝てるA0A243=739*K7、A0A248=2^7*7*J3、A0A249=983*T3ここら辺はアツいです、まだいくつかありそうなので各自で探してください。
6枚の場合、AAAX持ってるならA0AA97、A0AA83、A0AA73...みたいな素数も使用される場合があるんでしょうか、コスト高いからしばらくは使われないのかもしれませんがわかりません。
いずれは7枚8枚についてもA0A始まりの素数覚えたりする人がでてくるのでしょうか。7枚ぐらいまでくると20枚から組み切れたりするようになったりするんですかね。そうすると相全出しから革命後の組み切りまで(A729でカマトトしてくれれば)読めることとかあるんですかね。怖いですね。
とにかく、A0A始まりの強い素数を覚えて組み切りやすくなりそうです。というかここらへん未開拓なのやばくないですか?ここら辺覚えてないから、革命起こしても勝てないのではという気持ちになってきました。
絵札から始まる素数の開拓が行われる
平常時では基本使われなかった絵札始まりの5枚6桁(かつAを含まないもの)を革命下専用素数として覚え始める人が出てきそう。ラリーを有利に進めることができそうですね。T始まりの7枚出しとか覚えておくと8枚出しのA0で応用が効いてアドバンテージが取れる可能性もあります、知らんけど。
敢えての革命返しを誘う4枚出し
上で4枚出しは革命返しをされるのでしないと書いてますが、相手が革命返ししてくることが容易に予測できるならそれを逆手にとって敢えての4枚出しができます。そこからのいきなりOverKJQJや合成数出し上がり、というかっこいいプレイングできるのではという予測です。
そしてさらにこのプレイングが当たり前になったときに「革命返しをしないという選択」という革命下なのに普通の4枚出しの出し合いが発生したら面白そうですね。博打要素が強いですが。
終わりに
散らかった内容の記事になってしまいましたが、昨今の革命事情について語れたと思います。革命は戦略として採用されているが、まだ勝ち切る段階まで戦略が発展していない、といったところだと思います。これから革命下の戦略は発展します。というか完全なブルーオーシャンです。今A0A始まりの数を使いこなせば革命下最強です、多分。
「お互いがAAXを持っているときのA0A始まり素数、合成数」が2021年の革命下で流行してほしいです(合成数部分でカードカウントするなどの工夫が必要になりそうですが)。
さて、23日の記事は3TKさんによる 「素数大富豪オンライン新歓をやってみたお話」です。楽しみですね。
*1:グロタンカット後の全出し、ドローの有無で変わってきます
*2:全出し、カマトト、ミス、いろいろなラリーとか
*3:K(X含む)が4枚以上ならかなり安心、3枚なら5枚出し軸やOverKJQJなど色々考えるなどなど
*4:もちろん理論上はKKQ返されない手札もあるし、KKを切り札に持ってうまくあがれる手札も存在しそうですが、、
*5:もちろんKがたくさんあって平常時でも有利、革命しても有利という場合もありますが。
*6:8QTKで革命だったら革命のハードル低くて全然違う激ヤバゲームになることを考えるとめっちゃバランス良いなぁとつくづく感動してます
*7:相手が平常時にA48Aを出した時など
*8:AとXを独占してる場合を除く
*9:A022=2*7*73も一応
*10:シャッフルなし
*11:革命を起こす側がAAAXやAXXで革命を選択したときなど?ここらへん機会が少ないのでわからない
*12:この人なら絶対全回収してくるやろ、みたいなピンポイントな人読みはしてたりします